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長崎街道

筑前六宿のひとつ木屋瀬宿へ
~宿場まつりで蘇る街道の賑わい~


 ▲北九州市立長崎街道木屋瀬宿記念館

 「宿場まつり」が開催された11月4日(日)に木屋瀬宿を訪れました。この日は、貢米の集積場となった船庄屋の梅本家など、普段非公開の住宅が一般に公開されるとあって多くの人々で賑わっていました。
  木屋瀬の宿場は、東構口跡から西構口跡を結ぶ約1キロの距離。町並みは、家が道に対して斜めに建っている「矢止め」と呼ばれるめずらしい配置になっているのが特徴です。街道には、商いで財をなした立派な軒先が並び、江戸の風情を偲ばせます。急なカーブを描いた一角には、街道の歴史を紹介する北九州市立長崎街道木屋瀬宿記念館があります。館内には、長崎街道を旅する人たちの必須アイテムだった携帯用の秤や帳簿・道中水呑などの日用品が展示してあり、江戸時代に暮らした人々の生活と宿場の風情が感じられます。
 「宿場まつり」の様子を見物しながら西構口跡へと歩いてみると、街道は三度笠を被り道中姿で踊る宿場踊りや子どもたちによる神幸行列を見ようと集まった見物客などでいっぱいでした。お囃子が奏でるリズムに合わせて、次ぎの目的地まで街道を南へ歩きます。


▲筑前木屋瀬宿場まつり  



▲旧高崎家住宅


▲旧高崎家住宅の室内

 この町で一番立派な店構えの旧高崎家住宅は、NHKラジオドラマ『向う三軒両隣り』などで人気を博した放送作家・伊馬 春部(いま はるべ)の生家で市の有形文化財に指定されています。無料で開放している住宅の中には、愛用していた眼鏡や万年筆に直筆の原稿など作家の遺品が展示されています。この建物の創建は江戸時代末期ごろ。屋号は「柏屋(かねたま)」。嘉永年間には絞蝋業、明治初期には醤油の醸造業を営んでいた商家。敷地はなんと遠賀川の堤防まであったそうです。袖壁のある店構えで、一室には曲線の「船底天井」や閑静な奥座敷に茶室、頼山陽も立ち寄ったゆかりの場所としても有名です。

 木屋瀬から小舟に乗って遠賀川を渡り、植木へ往来していた渡し舟は、中島橋の南の土手から舟がでていました。小舟に乗って川向こうの植木の町へとさらに続く長崎街道。もう少し寒くなると、目印の大きな銀杏が黄色に染まってくることでしょう。


▲遠賀川の舟渡場と銀杏の木 

 

次回は、遠賀川に沿って直方・小竹とまいります。

 

長崎街道を歩こう!

【木屋瀬宿】
○江戸時代の国名/筑前国
○所在/北九州市八幡西区木屋瀬の一帯
○アクセス/車…九州自動車道【八幡IC]】もしくは北九州都市高速<馬場山ランプ>から車で約10分。
電車…JR筑豊本線【筑前植木駅】を下車して東へ直進して徒歩約15分。中島橋を渡ってすぐ。
筑豊電鉄の【木屋瀬駅】を下車して徒歩約5分
○まつり/木屋瀬盆踊り(8月13日~15日) 子供えびす(12月の第1土・日曜) 筑前木屋瀬宿場まつり(11月上旬)

【旧高崎家住宅】
所在/北九州市八幡西区木屋瀬4-12-5
お問い合わせ/093-618-2132
開館時間/10:00~16:30
休館/月曜・祝日・年末年始
入館料/無料
アクセス/筑豊電鉄の【木屋瀬駅】を下車して徒歩約10分(西溝口跡の近く)。

【北九州市立長崎街道木屋瀬宿記念館】
宿場にまつわる資料を展示している「みちの郷土史料館」と多目的ホール「こやのせ座」からなる記念館。長崎街道の筑前六宿のひとつ木屋瀬宿の御茶屋と町茶屋のあった場所に建っています。
北九州市八幡西区木屋瀬3-16-26
TEL/093-619-1149
開館時間/9:00~17:30(入館17:00迄) *こやのせ座の利用は22:00迄。
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日休)・年末年始
入館料/一般200円 高校生100円 小・中学生50円
アクセス/車…九州自動車道【八幡IC】もしくは北九州都市高速<馬場山ランプ>から車で約10分。
電車…JR筑豊本線【筑前植木駅】を下車して東へ直進して徒歩約15分。中島橋を渡ってすぐ。
筑豊電鉄の【木屋瀬駅】を下車して徒歩約5分。

【写真】
撮影:小山善寛